苔を楽しむ

2020.12.17

苔テラリウムとは?苔テラリウムの作り方や手入れの方法を解説

苔を使ったインテリアの中でも、苔テラリウムは場所を取らずに楽しむことができます。

完成品の苔テラリウムを購入してもお手軽に楽しむことができますが、自分で苔を育てて苔テラリウムを作るという楽しみ方もできます。

今回は、初心者でも簡単にできる苔テラリウムについて、概要や作り方、手入れの方法について説明します。

苔テラリウムとは何か

苔テラリウムは読んで字のごとく、苔をメインに据えて作るテラリウムです。

寺社の庭に作られるような「苔庭」のような風情をガラス容器の中で演出することができます。苔が主体であるため、初心者にとっても作りやすいテラリウムです。

苔は日陰に強い植物であるため、日があまり当たらない室内でも育てることができるほか、水やりも数週間に一度霧吹きで水を吹きかけてあげるだけと、手軽に育てることができます。

 

そもそもテラリウムとは、ガラス製などの透明な容器の中で苔や藻などの小さい植物や虫などの小動物を飼育・栽培する技術のことです。

土を指すラテン語の「terra」に場所を指す接尾辞の「-arium」をつけた造語と言われています。

園芸などの一形態として多くの人に親しまれている育成方法です。様々な植物や小動物を組み合わせて、自分だけのテラリウムを作ることができます。

 

鑑賞方法や容器によって、置き型とハンギング型の二種類が存在します。

置き型はコップや瓶のような容器の中に苔を入れ、テーブルや棚において楽しむタイプです。容器の口が広いため、作業がしやすい利点がある他、家庭で出た空き瓶や不要になったコップなどを転用することができます。

一方、ハンギング型は筒のような容器に苔を入れ、コルク栓などで蓋をして麻紐などで吊るすタイプです。容器の口が狭くなるため作業の難易度が上がる他、コルク栓や麻紐、吊るすための棒を用意する必要がありますが、お洒落なインテリアとして楽しむことができます。

 

苔テラリウムの作り方

必要な道具について

苔テラリウムを作る前に、まずは必要なものを整理しましょう。必須となるのは苔本体と、苔を入れる容器、土台として使う土や砂利です。

道具として、土を入れるためのスプーンやじょうご、苔を入れるためのピンセットや箸、苔を切りそろえるなどの作業で使用するハサミを用意します。

 

これらの道具はそれぞれ個別に用意しても良いですが、市販されている苔テラリウム用のツールセットで一式を揃えることも可能です。

また、必須ではありませんが、苔と一緒に小さなジオラマフィギュアや、石や木といった構造物などを入れてもよいでしょう。

 

テラリウムに適した苔について

使用する苔は、観賞用として予め栽培された苔を通販などで入手するのが最も手軽な入手方法です。

テラリウムに使用される苔は、ムチゴケ、ヒノキゴケ、コツボゴケ、ホソバオキナゴケなどが一般的です。中でもヒノキゴケは水分を多く含むことができるため、湿度を保つことが重要なテラリウムには特に適しています。

 

苔テラリウムの作り方の手順

作り方としては、容器に土を入れ、水分を含ませた後苔を植える順序で行います。

容器に土を入れる際には、水はけを良くするために砂利、砂、土という順で、粒度ごとに地層を作るように入れることをおすすめします。

また、口の狭い容器に土を入れる場合は、じょうごを使うと綺麗に土を入れることが可能です。土を入れた後は、水を注いで土に水分を含ませます。土が水でひたひたになるまで水を注ぐと良いでしょう。

 

容器と土の準備ができたら、いよいよ苔をピンセットで植えていきます。

下準備として、植えたい本数の苔を一本一本分けて、古い根や枯れた部分をハサミで取り除き、ひとまとめにして長さを切りそろえピンセットを使って土の上に植えます。予め土にピンセットで穴を開けて、そこに苔を差し込む形で植えると良いでしょう。

なお、差し込むのが難しい草丈の低い苔は、そのまま土の上に置くだけでも成長します。その上で、構造物や小物などを入れて、霧吹きで苔を湿らせて完成です。

 

注意点について

苔を植えたり構造物を配置する際には、ある程度の余裕を持たせましょう。

ぎっしり敷き詰めてしまうと見た目が重たくなってしまう他、苔の成長の余裕がなくなってしまい、そのまま枯れてしまったり雑菌が繁殖してしまうなどの危険性があります。

また、初心者のうちは作業がしやすい、口の広い容器を使って作るのがおすすめです。口が狭いと、苔を植える作業の難易度が上がってしまいます。

 

苔テラリウムの手入れ方法

苔テラリウムの手入れを行う際には、苔にとって理想的な環境を目指すことを心がけましょう。

理想の環境の鍵となるのが、「湿度」「光」「温度」の3つの要素です。

 

湿度について

最も重要なのは湿度です。苔は湿度が高い場所を好む植物のため、湿度は適度に管理する必要があります。

テラリウムの中を触って、カラッと乾いてしまっている状態は苔にとってご法度です。霧吹きを使って、定期的に水をやることで苔に必要な湿度を確保しましょう。始めのうちは定期的に苔を触って、どれくらいの頻度で水をやればよいかを把握していくと良いでしょう。

 

光について

苔は植物なので、当然光合成を行います。湿度と並んで重要な要素に「光」があるのは、苔が光を浴びて育つ植物であるためです。

ただし、苔の場合は日陰でも育つため、日当たりの悪い部屋に置いても問題ありません。だからといって、全く光源がない暗室に保管するのはNGです。

少なくて良いとは言え、日光が全く不要というわけではありません。どうしても光が必要な場合は、植物育成用のLEDライトを用意して、必要な光量を確保すると良いでしょう。

 

温度について

湿度、光の次に重要なのは温度です。苔は暑さがあまり得意ではありません。自然界の苔は石の裏など、ひんやりした涼しい環境で育つことからもそれが伺えます。

このため、暖房の側や電化製品の排気口の側などといった高温になりやすい場所での保管は避けましょう。

また、直射日光が当たる場所も、温度が上がってしまうため苔にとっては良くない環境です。特に夏場は冷房のそばに置くなど、高温にならないように置き場所には工夫しましょう。

 

その他、定期的に行うべき手入れ

ここまで苔にとっての理想的な環境を作るための手入れ方法や保管方法について説明しましたが、苔テラリウムを長持ちさせるための手入れは他にも存在します。

苔の葉が枯れてきたら、ハサミで枯れた部分を取り除くようにしましょう。見栄え以外にも、雑菌の繁殖を防ぐ効果があります。

また、湿度を上げた結果発生してしまうカビについても、定期的に容器の内側を拭くなどして取り除くようにしましょう。雑菌の繁殖が特に心配な場合は、殺菌効果のあるヒバオイルを霧吹きで吹きかけてあげることで雑菌を防ぐことができます。

 

おわりに

卓上の小さな自然を楽しむことができる苔テラリウム

苔テラリウムは、自宅で手軽に楽しむことができるテラリウムです。

環境をしっかり整えることで、手のひらサイズの自然を見て楽しむことができます。手入れを欠かさず行えば、長く楽しむことができる他、愛着もわいてくることでしょう。

手軽に始められる苔テラリウムで、卓上に再現された小さな自然を楽しんでみてください。

 

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