苔のある日常

2020.12.18

苔庭とは?苔庭の事例や手入れの方法をわかりやすく解説

日本国内には数多くの庭園が存在しており、一般のご家庭で庭園を造ろうとする方は少なくありません。
そのような庭園の一つとして人気なのが、「苔庭」と呼ばれるものです。名前を聞いただけでは、具体的にどのような庭なのかイメージすることは難しいでしょう。

ここでは、そんな苔庭の基本や、実際の造園事例・手入れの方法について解説していきます。

苔庭とは

苔庭というのは、名前の通り苔を中心に造られた庭園のことです。

場合によっては、他の植物は使わずに苔だけで造られていることもあります。

 

苔は一般的な植物とは違い、非常に柔らかくモコモコとした見た目なので、造園に利用するとまるでカーペットのような庭を造ることができます。

しかし、使う苔の種類によっても、完成形は多少異なるため、苔庭を作る際には苔の種類やそれぞれの特徴を理解しておくことも大切です。

ここでは、代表的な苔を3つ紹介します。

 

ハイゴケ

ハイゴケという名前通り、地面を這うように広がっていく苔です。

ちょっとした廃墟や遺跡に生えていたり、一般的な屋根や道端など身近な場所でも見られたりします。

非常に高い繁殖力が特徴で、土壌を選ばず育っていくことから、苔庭初心者向けの苔だといえます。

 

日が当たる場所では明度が高い緑になり、暗めの場所では明度が低い濃い緑になるのも特徴です。

 

オオスギゴケ

見る人によっては胞子のようにも見えるのが、オオスギゴケと呼ばれる苔です。

スギゴケの一種で、色合いは黄緑から緑といったもので、艶などを含め苔らしい見た目だといえるでしょう。

 

基本的に日向から半日陰の場所や、腐植土の多いところに生えます。

乾燥地には弱いため黒ボク土を使用することをおすすめします。日本の気候であれば多くの地域で育てることが可能です。

 

スナゴケ

一日当たりの日照時間が長い場所で育つのが、スナゴケです。

基本的に苔は日陰を好む傾向にあると思われていますが、スナゴケは日向で成長する苔となっています。

名前の由来通り砂地の上を好む苔です。

 

苔庭に使われる苔は基本的に濃い緑のものが多いですが、スナゴケの多くは少し乾いた黄緑のような色合いです。

緑色が基調となる苔庭にとっては、色合いに幅を持たせる存在だといえるかもしれません。

 

繁殖力が高く育てやすい苔なので、苔庭初心者におすすめの苔です。

 

苔庭の造園事例

西芳寺

http://saihoji-kokedera.com/top.html

西芳寺は京都にあるお寺ですが、「苔寺」という別名を持っているほど雄大な苔庭が広がっている場所です。

120種以上の苔は元々自生した自然のもので、それらを整備して作られたのが西芳寺の苔庭。

これほど大規模で立派な苔庭を造るのは難しいですが、造園事例の一つとして知っておくと良いでしょう。

 

祇園寺

https://www.giouji.or.jp/

苔庭があるお寺は多く、そのうちの一つでもあるのが祇園寺です。

西芳寺の苔庭には自然由来のものですが、こちらは日ごろから細かな管理がなされており、苔庭の魅力でもあるモフモフとした見た目が楽しめる場所となっています。

苔庭としての完成度が高いため、苔庭を造園する際には参考にしたい事例です。

 

苔庭の手入れ方法

苔庭の手入れ方法は、使用している苔の種類によっても異なります。

また、地域によっても手入れの仕方を変える必要があるため、自分が造園しようとしている地域の気温や湿度、日当たりなどをよく確認しておくことが重要です。

 

しかし、繁殖力の高いハイゴケやスナゴケは、それほど管理に気をつかわなくても生育・繁殖していきます。

ここから解説するのは、「苔をキレイに見せるため」の手入れ方法です。

 

苔の性質に合わせて水やりをする

苔も植物なので、水をやらなくても繁殖する可能性はありますが、色が薄くなるなど見た目が悪くなることが多いです。

しかし、通常の植物と同じ感覚で水やりすると、過湿状態になってしまうこともあります。スナゴケをはじめ、過湿を好まない苔は少なくありません。

 

また、高い頻度で水やりをすると、却って苔の生育を邪魔するケースも考えられます。

湿度だけでなく、水やりの水圧が強いと苔が剥がれるといったトラブルに繋がることもあるので、水やりの仕方には十分に注意が必要です。

 

苔に隙間が空かないようにする

苔庭を手入れする際には、苔と苔の間に隙間が空いていないかどうかを確認した方が良いでしょう。

苔同士に隙間が生まれると、カーペットのようなモフモフ感が消える原因となり、苔庭の質を落とすことにも繋がります。隙間が空く理由の多くは、苔の葉が閉じてしまうからです。

苔湿度が低い、日照時間が長すぎるなど葉が閉じる原因はさまざまなので、できるだけ葉を閉じさせないよう管理するのが大切になります。

隙間が空いて密度の低い状態になった場合は、隙間に新しい苔の種を埋め込むのがおすすめです。

 

雑草も処理しよう

苔庭を造り始めた段階では、苔だけでなく雑草も生え始めます。

苔が育つと雑草の処理が多少面倒になるので、可能な限り苔が育つ前に雑草をしっかり処理するようにしましょう。

 

おわりに

苔を使って魅力的な庭を造ろう

苔と聞くと「古風で敷居が高い」イメージを持つ方もいるかもしれませんが、庭づくりに使用すると非常に魅力的なインテリアとなります。

和風庭園だけでなく、洋風の庭づくりにもピッタリです。造園用の苔や苔の種は通販などでも購入できる上、慣れこそ必要なものの苔の手入れはそれほど難しくありません。

魅力的な庭を造りたいという方は、一度苔庭造りにチャレンジしてみるのも良いでしょう。

 

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