苔を選ぶ

2020.12.17

苔の種類を徹底解説!品種別の苔の生態や育て方について

近年、苔界隈においては苔玉や苔盆栽、苔テラリウムなどインテリアとしての人気が高まりつつあります。

苔といえば総じてジメジメとした場所に生えていて、品種に大差はないと考えている方も多いかもしれません。

しかし、苔には様々な種類があり、生育環境によって色合いも異なります。また、育成環境が異なれば必然的に育成方法も異なります。

そこでこの記事では品種別の苔の生態や育て方などについて紹介していきます。

苔の種類は約18,000種

苔の種類は約18,000種あると言われています。その中で日本に自生しているのが約1,700種類ですが、種類によって好む環境も違います。

一般的に苔は日陰を好むものというイメージがついていますが、日向でも生育する苔は存在し、日射量が多いほど明るい緑色、逆に日があまり当たらない場所に生育している苔は深みのある緑色になっていきます。

 

ちなみに苔は蘚類と苔類、ツノゴケ類の3つのグループに大別されますが、国内で最も多く自生するのが蘚類です。

ヒノキゴケやハイゴケ、オオスギゴケなど国内では約1,000種類の苔が蘚類に属し、テラリウムや盆栽などにもよく使われています。

 

苔類の種類は約620種

苔類にはゼニゴケやジャゴケ、ムチゴケなど約620種が属します。

ゼニゴケが葉っぱのように平たい形状であるのに対し、ムチゴケは葉と茎がハッキリと区分出来る形であり、同じグループながら見た目は異なります。

また苔類の中にもテラリウムやアクアリウムに利用されている種類があります。

そして国内で滅多に見かけないのがツノゴケ類となります。明るく湿った地面に生えており、見た目は葉状苔類に似ていますが、胞子体が尖ったツノ状になっているのが特徴です。

国内に自生するのは17種類で、園芸用に利用される事はほとんどありません。

 

品種別の苔の生態

苔はコケ植物門に属する植物です。しかし他の植物のように、栄養や水分を吸い上げる根や維管束がありません。

一見、根のように見える仮根と呼ばれるものはありますが、仮根は単に地面や岩にしがみいついて体を支えるためのもので、水分を吸い上げる力はほとんどありません。

その代わりに葉の細胞に水分を取り込み、光合成をして栄養分を作り出し成長していきます。

つまり苔の生育には高い空中湿度が必要となり、森林の中や滝近くに多く自生するのは、苔にとって最良な環境だからこそと言えます。

 

ただし全ての苔が、湿度の高い薄暗い場所を好む訳ではありません。

品種によって生態も様々で、例えば直射日光がよく当たる砂地や岩の上に生息しているのがスナゴケやスギゴケになります。乾燥した場所でも生き抜くタフさがあり、比較的育てやすい品種としても知られています。

また直射日光は当たらないものの、明るい日陰が好きなのがハイゴケです。土手や倒木の上に這うように生えているのが特徴です。

一方、日陰を好むのがヒノキゴケやシノブゴケです。

ヒノキゴケは山地の林などの湿度が高く、かつ木漏れ日程度の暗い日陰で生息しています。

シノブゴケは日陰の湿った土や岩などに群生して生えていますが、乾燥した環境を嫌い、湿度の無い過酷な環境では成長をストップさせてしまいます。

 

品種別の基本的な育て方

多くの苔の中にも育てやすい苔もあれば、育てにくい苔もあります。

園芸用としてよく知られているのは、スギゴケやスナゴケ、ハイゴケ、カモジゴケ、ヒノキゴケなどが挙げられます。

 

スギゴケ

スギゴケは日向から半日陰まで様々な場所に対応できます。日本庭園等で苔が使用される場合、非常に多く使用される種類です。

寒さや乾燥には強いのですが、高温多湿による蒸れには弱い傾向にあります。

 

スナゴケ

スナゴケは比較的日当たりの良い場所を好みます。また、寒さや乾燥にも強い傾向にあります。

ただし、あまりにも高温な環境や多湿な状態な避けた方が良いでしょう。アクアリウムなどではうまく育たないケースもあるようです。

 

ハイゴケ

強い直射日光には比較的弱い特徴があります。屋外で育てる場合はしっかりとした遮光対策が必要でしょう。

屋内においても、レースカーテンで光を遮ったうえで育てるようにしましょう。

 

カモジゴケ

カモジゴケは乾燥や高温多湿の環境に弱い特徴があります。水やりの頻度や風通しに注意を払う必要があるでしょう。

一方で弱い光でも育ちますので、室内では比較的育てやすい苔といえます。

 

ヒノキゴケ

乾燥が苦手なコケです。湿気の多い環境下での育成が必要でしょう。

また蒸れも苦手なため、暑い時期の水やりは時間帯を考慮するようにしましょう。他には寒い風や直射日光なども嫌いますので対策を怠らないようにしましょう。

 

自宅で苔を育てる際の注意点

街中の至る所で苔は生息していますが、自宅以外の敷地に生えている苔を勝手に持ち帰るのは禁じられています。

もし持ち帰る場合は、必ず土地の所有者に確認する必要があります。

 

苔を植えるにあたっては、植えつける場所の土も重要です。

まずはしっかり耕して、腐葉土を混ぜ込んでおきます。また苔の仮根を定着させるために下土を入れるのもポイントです。

水やりは植え付けた最初の2か月間は1週間に数回たっぷりと、2ヶ月が過ぎた頃からは自然任せで基本的に水やりは不要となります。

苔は多湿を好む植物ですが、水の量が多過ぎると変色する可能性もあるので注意が必要です。

 

また、部屋のインテリアとして苔を育てる場合も、いくつか注意すべき点があります。

まず屋外同様、種類によって日照時間を調整しなければいけません。

例えば盆栽として楽しむ場合は太陽の光が差し込む窓辺、ガラス容器の中で育てるテラリウムならレースカーテンを隔て、直射日光は避けるようにします。

さらに元々屋外で生息している植物であるため、時々窓を開けて風を当たるなどの工夫も必要となります。

エアコンを使う時期は空気が乾燥しやすいので、様子を見ながら水やりも行っていきますが、テラリウムは霧吹きで水分を与え、水やり後の半日は蓋をせずに余計な水分を逃すこともポイントです。

 

おわりに

自分好みの苔を探して楽しみながら育てよう

苔にも様々な種類があり、見た目だけではなく生息環境も大きく異なります。

基本的に生命力の強い苔ですが、育て方を間違うとあっという間に枯らす可能性もあります。苔を育てるにあたって、まずは興味のある苔の特徴についてよく知る必要があります。

ハイゴケやスナゴケが比較的育てやすく初心者向きではありますが、自分好みの苔であれば、多少栽培方法が難しくても愛情を持って育てられるものです。

 

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