種類は13,000種!スギゴケの代表的な種類と生態のご紹介

スギゴケは、昔から日本庭園やお寺などで見かけることの多い苔の種類のひとつです。
これまではどちらかといえば和のイメージが強いように思われていましたが、最近では洋風の庭にも植えられていたり、テラリウムに使われたりもしていることもあります。
そんなスギゴケの特徴をはじめ、スギゴケの仲間にはどんな種類があるのか、その生態など、今人気のスギゴケの魅力に迫ります。
スギゴケってどんな苔?
はじめにスギゴケの概要をご紹介してきます。
スギゴケの名前の由来
スギゴケは、漢字で「杉苔」と書くように、その姿が「杉の木」に似ていることから、その名前が付けられました。
また、雄株が花のように見える時期が美しいと苔の愛好家にとても人気がある種類です。
スギゴケの特徴
スギゴケは茎と葉に分かれていいます。茎は5cmくらいのものから、長いものでは20cmほどにも成長します。
また、枝分かれすることはなく、まっすぐ上に向かって伸びていくという特徴があります。
葉は、茎の真ん中ぐらいから先に付くことが多く、湿っている時は広がっていますが、水分が少なくなり乾いてくると葉を閉じてしまいます。
しかし、霧吹きなどでまた濡らしてみると数時間後には開きはじめます。
また、日当たりの良い場所では黄緑色で葉も小型になるなど、生育環境によって違いが大きく現れる植物でもあります。
主なスギゴケの種類
スギゴケの中でも園芸でよく使われているのは、見た目もそっくりなウマスギゴケとオオスギゴケでしょう。代表的な品種といえます。
しかしスギゴケはこの2種だけではありません。スギゴケは13,000種類にも及ぶと言われている種類の多い植物です。
ここでは主なスギゴケの種類を紹介していきます。
ウマスギゴケ
お寺などの苔庭に使われることの多い種類で、明るい場所を好みます。その為、よく日のあたる枯山水の庭などに利用されることがある品種です。
オオスギゴケ
ウマスギゴケにとても似ており、肉眼で見分けるのは難しいと言われています。ウマスギゴケとの違いは、日陰を好むというところです。
また、テラリウム栽培に向いている品種でもあります。
ホウライスギゴケ
西日本に自生しており、日陰を好みます。コセイタカスギゴケに似ていますが、低地に自生することもあり、コセイタカスギゴケより耐暑性があり、育てやすい品種です。
セイタカスギゴケ
亜高山帯の森林に自生している為、暑さに弱く栽培の難しい品種です。コセイタカスギゴケと共に生えていることも多く、名前の通り、背が高く大きめです。
コセイタカスギゴケ
セイタカスギゴケと同様の環境に自生しており、「コセイタカ」という名前のわりには、スギゴケの中では大きめの種類になります。
フウリンゴケ
スギゴケの中では小型の品種で、暑さにも弱く栽培の難しい品種です。亜高山帯の森林で、湿った斜面に自生しています。
胞子体が付くことで、小さな風鈴が付いているように見えるのが名前の由来で、とても可愛らしい姿をしています。
コスギゴケ
小型の種類で、湿った土に生える特徴があります。神社の境内の他、公園などでもよく見かける品種です。
スギゴケの生態
続いてスギゴケの生態をみていきましょう。
スギゴケの自生地
スギゴケの多くは日本全土で自生しており、岩の隙間や腐木上に群生しています。
また、水辺を好む品種もあり、湧水の側に生えているのを見かけることもあります。
スギゴケは、ある程度の日光は好みますが、日中の直射日光は苦手としている為、木漏れ日があたるくらいの場所に群生していることが多いでしょう。
スギゴケの特徴
スギゴケは他の苔と同様、根が存在していません。
苔は一般的に葉の全体から水分を吸収して成長するため、根から水分を吸収することはありませんが、根のように見えるものも付いています。
これは仮根と呼ばれていて、主に石や地面にしがみつく役割をしているだけで根から水分や栄養を吸収するものではありません。
スギゴケの増え方
こちらも他の苔同様にスギゴケは種子で増える植物ではないことが知られています。雄株と雌株に分かれており、雨の日などに雄株の精子により雌株が受精します。
時期によっては雄株に花のようなものが付いているように見えるときがありますが、実際には花ではありません。雄株の精子をつくる造精器です。
その後、雌株が成長して胞子を作り、その胞子がばら撒かれると、発芽して雄雌それぞれの株になる、といったことを繰り返して増えていきます。
雄株と雌株になったスギゴケは、1年間に約3~7cm先端部分から成長していき、成長した部分から順番に枯れていきます。
生育良好なスギゴケの場合は、3~5年ほどで、全長が10~20cmにまで成長します。また親株の隙間を埋めるように次々と胞子が撒かれ、子株が発生し、大きく群生します。
スギゴケはすぐそばに自生しているかも?
いかがでしたでしょうか。スギゴケは多くの種類がありますので、知らず知らずのうちに見ていることもあるでしょう。
この記事をきっかけにしてもしもスギゴケを見つけた際にはじっくりと観察してみても良いかもしれません。